気まぐれものつくブログ

色々やっています。まったり更新したりします~。

いらっしゃいませ、ようこそ、気まぐれものつくブログへ!ゆっくりしていってくださいね!まったり更新しております!

転生したら車でした

続きへ
その日の夜。
水が浸された場所の夢を見た。
底から上を見上げる黒いバス。
『僕は、ここで生まれ、ここで死んだ。だけど、もう、こうやって住民が死にゆくのは見たくはない。水を、引かせるんだ。向こうにはカラカラの場所がある。そこに水を持っていく。僕は死ぬけど、あのとき会えたスポーツカーは生き写しだった。あの車に』
水の水位が下がっていく。
と同時に、別の場所はなみなみと海ができた。
『ありがとう。君は言っていたよね、最後の最後に。僕の最後の使命を果たす時が来るって。今がその時だから。この海の向こうには、人間がいるんだろうね』
どんどん水位が下がる。
『でも……もう少し、待ちたいんだ』
そこで目を覚まし、すぐに身支度し、あの場所へ。
あの黒いバスの元へと走った。
確かに水位は低く、海の場所であろう場所が出来ている。
港はまだ見えない。
「どうして?」
「せめて、あなたの最後を見届けたくて」
「……やっぱり、あの車みたいだね。スープラみたいだ」
「そう、なのかな?」
「だいぶ水位は下がってるのは気がついたよね。最後の使命を果たす時が来てるから、上の方に登ってて。危ないから」
「わ、わかったわ」
再び山を登り、てっぺんに。
その後水位が一気に下がり、完全に沈んでいた街が見えた。
すぐに向かった。
「もうすぐ、終わるけど、ありがとう」
「なんでそんな顔しているの?」
「え? あはは、わかんないや……」
「大丈夫、あなたの分まで戦うし、弔うから」
「ありがとう」
その後ピタリと止まり、そして、ただエンジンが止まった。
車の死といえばそうだろうけど、せめてそのままにしてやろうと思った。
でもこのままだと勘違いしそうだなと思った時。
あのときの車が複数台連れてきた。
「ああ……やはりここに居たんだな。盟友の幽霊が」
「盟友の幽霊……」
「俺はその知り合いの車、GTRだ」
「GTRさん……? でも、周り同じGTRさんですよ?」
「【話せる】のは俺だけだ。こいつは触れれないよう柵を作ろうと思ってな」
「柵、ですか。材料は?」
「ある」
「手伝いましょうか?」
「手を怪我するなよ?」
「手ってどこにあるんですかね」
「見えない手でやってるんじゃないか」
「そういう事ですか……」
とりあえず柵を作り、そのバスの周りに作られた。
触れるなと電流まで流しておいて。
私は触れてないけど、一台の車が触れてビリビリと感電していたので気を付けてと言われていたけど。
「とにかく、レースの開催日はもう迫っている。今年からは季節ごとのレースができるようになったから、それもあるが……」
「ってことは、来年というかもう今年なんですが、3月が明日からですよね?」
「そうだ。グランプリに参加するか?」
「しますよ!」
「その意義だ。それに、お前さんの実力だけではなく、とんでもなくレアなエンジンにも目をつけている」
「ええ?」
「その昔の話だ。死んだ盟友にも聞けるよう言っておこう」
それは、こんな話だそうです。
『一筋の悪魔シリーズを持つ、一台の車ありき。それはGRスープラの車体に積まれており、その車、街水没の前日まで活躍し、病気にて去れり。その一部パーツは水没で使いもんにならず、一部はどこかに消え去り』
「なるほど……。それが、私にあると?」
「あの事故は不慮の事故だが、それで君にそのエンジンの可能性が露呈してな。明日その大統領が来るからといって無理に身だしなみを整えなくていいからな」
「は、はいぃ」
貴重なお時間をありがとうございますと言うと、「別に構わない。ただ不思議な感覚だった、とおっしゃっていたのでな」と言われた。
とりあえず私達は山を登ってから、街を見る。
苔とかが生えているが、また復興できるのかはこれからだろうという。

翌日。
お布団もふもふのお時間からさみしいけど起きて、身支度とかして、登録に向かおうと玄関のドアを開けた。
「やあ!」
「や、やあ……」
「へー、あのGTRが言ってたのはこういう事かぁ。確かに懐かしい感覚がする」
「え、ええ? あ、あなたは?」
「あ、俺? 俺はオロチ! 結構軽いけどこれでも住民からは大統領って言われてるんだ!」
まさかの大御所さんでした。
「大統領、受付まで案内してあげろ」
「わかってる。何のために見に来たと思ってるんだい」
「全く」
なんか怖いけどとりあえずついてきて、受付を済ませる。
翌日から本番だけど、その間に走り込むことにした。
「なるほどねー……。GRスープラのボディにして特殊な心臓かぁ」
「そういえば、心臓って……?」
「心臓はイコールエンジンだよ。僕みたいに魔法で動くタイプは特殊なエンジンと言われているよ」
「なるほど、普通のエンジンとは違うんですね」
「そして、更に特殊なのが、伝説となった悪魔のエンジン! これは魔法で動いていたらしいんだけど、謎なんだよね。原理が。あと紛失しているから、探しているんだ。どこもね」
「なるほど、私にあるとは限りませんけどね」
「そうだね」
ということで大統領は仕事のため部下を連れて去ったので、走り込むことにした。

翌日からは。
レース本番だけど、イメトレではなく、実際のレースと同じ感覚で走り込む。
そんな感じで風のように走り、鳥のように駆け抜ける。
それで優勝し、1年は優勝をもぎ取ることはできた。
でも、私はあの家から離れないことにした。
なぜなら。
あの家だからこそ落ち着くんです。
そして、大統領から側近にならないかと言われたのです。
その頃には船ができて、向こうの世界とかにも移動しているけど、車たちが増えているので楽しいです。
ただ、あの場所はもう立入禁止だけど、思い出は残っています。
あの黒いバスさんとの思い出が。
エンジンも謎がわかったのですが、その神話のエンジンだった事が判明し、さらに驚いたものの、側近になる約束として、あの家に住まわせてくださいと頼んだら承諾されました。
ただ、何かあったら行くとは言ってあり、場所も知ったし、行ったこともある。
だからこそ、1日、1日を大切に生きたい。

~ 終わり ~