気まぐれものつくブログ

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悲壮なる騎士

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翌朝。
起き上がってから朝食をもらい、頂いたあと、俺は身支度する。
ただこの城にいるわけにはいかないだろうとは思ったが、現状の身体では、いつ倒れてもおかしくはない。
不老不死ではない、不完全な体だ。
完全な死神になるためには、もう一度死ななければならない。
それが怖い。
「……」
城から出ようと思ったが、不意に足を止めた。
わからない。
懐かしい感じがして、その足をその感じがする場所へと向かった。
ドアを開けた時、頭痛が走った。
ああ。ここだ。
俺は、完全に命が消える場所を見つけれた。
俺は、あの時、刃を引っ込めた死神によってここに運ばれた。
そして、そのまま刃で傷を受けていた。
文字を書かされていた。
腕に残る、あざがそうだ。
命が完全に消えようとしているんだ。俺が。
思い出せ、あの時の記憶を。
ふらつく体で、その壁に触れた。
「はぁ、はぁ……」
息が粗くなる。
その後のことは覚えていたのに、あの過去を思い出したい。
飛ばされる前までの記憶を。
「思い出したいかい?」
「ああ、思い出したい……」
「なら、この本に触れなよ」
浮いている本がある。
それに触れた途端、記憶が途切れた……。
――― その日。
――― 国王の生命の灯火は消え、俺の僅かに残っていた生命の灯火も消えた……。