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カセルピスが「せっかくなのでレースしませんか?」と言ってきた。
「いやお前な……レース会場はあるけど俺免許……」
「ああ、大丈夫ですよ。取れば良いんです」
「そう言えばそうだった」
ということで、まずは教習所で勉強。
久々の勉強だ。
道路での安全運転とかの講習等を受け、仮免まで行った。
実習。
ここでほとんどの人たちはゾッとするかもしれない運転とかが出ると落とされがちだ。
安全運転をすればほとんどは受かる。
ちゃんと標識もあるが、それを守れるかも試されるわけだ。
と、一台の車が現れた。
見た感じ車に口があって、ライト部分が目になっている。
なんだかかわいい。
車種……これは……まさか、地球のGRスープラか。
と思ったが合ってたようで、調べたらそうだった。
「えっと、今日の先生がボクです。すーくんって言われてますが、教習所の先生です。今日はなんですけどね」
「え?」
「いつもはレース会場で走ってますよ。ほら、魔界でもできたじゃないですか。レース会場。ニュルリンコースとオードコース。オードコースは元ネタは『オーバルサーキット』というものですが。ニュルリンはほら、あの有名な『ニュルブルクリンク』ですよ」
「わかった。俺も走れるようになったら頼むぞ」
「はい!」
ということで。
安全運転を意識して走行していたら、べた褒めされました。
で、合格し、免許は明日に来る、と。
「お疲れさまでした。ボクはこれからレース会場の整備へ。明日、免許が来たらレース会場に行ってみません?」
「行くよ。明後日レース予選だっけ?」
「そうですよ~」
「わかった、行くよ。すーくん」
「ありがとうございます!」
そういえばレンがよくレース会場に行くと思ったらレースしてたんだな。
レーサーとしての生き様がよく分かる。
ということで免許が来てから翌日。
レース会場。
俺は流石に危ないと言うことで、予選は不参加だが、ピットで見守ることにした。
あのさっきのスポーツカーもいる。
いっぱい車がいる。
喋るやつだけじゃなく、感情のある車もいる。
「あれ? あの車……podじゃないか?」
「そうだね。君は知っているのかい?」
「レン、あれは確かちょこんと座ったり感情豊かな車だぞ」
「さて、予選頑張ってくるよ」
「もう変なこと起こすなよ?」
「もちろんだよ」
その後の予選が始まると、魔界が大盛りあがりした。
いや、むしろ速い車達だ。
トップでゴールしたレンの車もなかなかだが、すーくん、podも早い。
流石といったところか。
明日は本戦だ。
「強かったね、すーくん」
「いや、レンさんもすごいですよ。あのキレッキレな運転とか、どこで学んだんですか?」
「それは言えないね、すーくん」
「そでしたか。失礼しましたー」
そして翌日の本戦。
レース始まってそうそう、見せつけに来た。
レンの運転する車もそうだが、早くて瞬きする余裕がない。
指示を出しているカセルピスたちも冷静にできてないようだ。
「早い……強い!」
俺もこんな舞台に立ってみたい。
でも難しそうだな。
と思ってたら、カセルピスは「大丈夫ですよ。努力すれば立てます。あの大舞台に」と言ってくれた。
そうだな。異世界レースだけど、やってみるか。
命が消えない限り走ってみたい。
速度などの勝負もそうだが、ドリフトの勝負もあるそうで、そっちも楽しみだ。
時間経過はあっという間だったが、そう感じなかった。
ワクワクする時間が強かった。
レンの走行する車がトップでゴール。
さすがレーサー、強すぎる。
圧倒的な力を見せつけてきたな……。
そして続いてレースが終わった段階でドリフト大会。
これも角度などで計算され、評価される。
某イベントみたいだが気にするな。
これはレンは初めてだったが、俺は一回だけ見たことがある。
見とれてしまうほどの美しいドリフトだった。
で、イベント自体はというと。
「良いドリフトですね~」
とカセルピス。
褒めてるのはわかるがヒレはないから大変そうだ。
そして、そのイベントも大成功+大盛況で終了。
良い走りだった。
満足した。
ということで鬼教師をつけてレースしたいと思ったため、カセルピスたちに打ち明けてみた。
「なるほど……。グーレン、いかが致しましょう」
「ええ、レビンさん。私はレースに疎くて……しかし、その気があるならその先生を探してきましょう」
ということで数分待っててくださいと言われ、そのとおりにしていたら。
ある一台の車が現れた。
podだ。
あの時の車だとわかった。
「えっと……あなたがレースしたい、と申し出たのですよね?」
「そうだけど……君はpodだよね?」
「はい! 覚えていただき光栄です! 祖先かなんかで覚えたのですか?」
「ま、まぁそんなところだね」
「僭越ながら、私、podと申します。よろしくお願いいたします」
「よろしく。俺はムウニテルだ」
「では、まずレースと言ってもスポーツカー以上でなければなりません。それでどうするかといいますと、レース車両を連れてきました」
と、ガレージにある車があった。
こ、これは……うわさの……GTRではないか!?
地球では1000万とか軽く行く車だ。
とんでもないパワー車両だ。
「これで教習させています」
「ぶつけたくないなー……」
「初心者はぶつけやすいんですが、レースゲームとかは嗜んでましたか?」
「かなりのレースゲームはやり込んでた」
「その感覚でレースしてみてください。変わりますよ、世界が」
「え? あ、ああ」
ということで乗り込んでまずは運転してみる。
なるほど、こいつはこういうやつか。
そうと決まれば、速度とかを慣らす感覚で走ってみた。
風景より、感覚で覚える。
むしろ、車幅を感じるのだ。
次はカーブ、次は直線といったように、感覚が教えてくれる。
俺はまだ未熟で、たまにコースアウトしかかったが、それでも一周はできた。
「はい、お疲れ様です。一周できましたね!」
「いや、まだまだだよ。特訓頼むよ」
「はい! では、ナビしながら指示しまくりますので、お覚悟を」
「わかった……いえ、わかりました!」
「そんな堅苦しいのでなくてもいいですよ」
「あっはい」
とりあえず特訓することになったが、命ありきだな、と思った。